2023年度札幌市予算編成に対する要望書

 日頃から、札幌市政の推進及び市民生活の安定にご尽力されておりますことに心から敬意を表します。
 世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー供給網の不安定化などによる原油価格の高騰により家計や事業経営を圧迫し、地域経済・社会に影響が出ています。とりわけ、需要期を迎える灯油価格の高騰は道民生活への影響が大きく、年金生活者や低所得者、コロナ禍で経済的な打撃を受けた市民、事業者にとっては厳しい状況に立たされています。
 また、国内経済においては、円相場の急速な円安が進んでおり、輸入コストの増加に歯止めがかからない状況となっています。こうしたことに加え、市内における新型コロナウィルス感染症の感染状況は、11月中旬から第8波が到来し、新規感染者数が過去最多を更新するなど、感染が拡大しています。
 市内外で移動が増える年末年始に向け、改めて対応の強化が必要となっており、引き続き、感染予防の徹底、日常生活の回復、そして医療提供体制の整備に向けた取り組みの徹底が必要です。
 コロナ禍は、不安定雇用や格差、人口減少に伴う社会保障・財政・地域の持続可能性、デジタル化の遅れなど、様々な社会課題を顕在化させました。これに加え、感染症対応や、気候変動に配慮したSDGSの目標達成など、困難な課題が山積しています。
 これまで一貫して増加傾向にあった人口が、減少局面を迎えたという大きな転換点にいる今、都市の持続可能性を念頭に市政運営をすることが求められています。
 札幌は先人たちの知恵とたゆまぬ努力により、さまざまな社会経済情勢の変化に対応しながら、世界に誇る大都市へと発展し、市政100周年を迎えました。
 先人たちから受け継いだこの素晴らしい札幌の街を、未来を担う子どもたちへ持続可能な形で引き継ぐため、次の100年を見据えたまちづくりを進めるとともに、市民生活をしっかりと支えていく取り組みが必要です。
 本市におかれましては、以下の項目について、2023年度札幌市予算に反映するよう申し上げます。

【重点項目】

1 新型コロナウィルス感染症対策
 これまでの感染症対策を検証し、罹患後症状に関する包括的な相談体制や、万全の医療提供体制を整備するとともに、医療機関への支援や、コロナ禍で失業や収入減で生活困窮に陥った市民への支援を行うこと。新型コロナ感染症を踏まえた防災マニュアルの更新や、避難所における生活環境の向上を図るため、備蓄物資の充実・増強を行うこと。

2 子育て支援
 子育て世帯の幅広い支援策として学校給食の無償化を検討すること。また、本来、大人が担う家族の介護や兄弟の世話、家事などを日常的に行っている「ヤングケアラー」の包括的な支援体制を整備すること。

3 大雪対策
 昨冬の大雪よる交通渋滞などの踏まえ、幹線道路の排雪前倒しや、雪堆積場を増設するとともに、ICTを活用した除雪作業の効率化と省力化を図り、持続可能な除雪体制を再構築すること。また、バス路線の排雪や歩道の凍結路面対策を強化するほか、間口の雪処理の負担軽減も含めた除排雪作業の充実を図ること。

4 経済対策
物価高騰が市民生活に及ぼす影響を最小限にするための対応策を講じること。また、市内の創業気運や若者の創業マインドの醸成を図るとともに、新しいビジネスモデルで社会的なイノベーションを起こす札幌発の「スタートアップ創出」に向けた取り組みを支援すること。

5 交通ネットワーク
 都心への不必要な自動車流入を抑制するとともに、ICTやロケーションシステム等を活用した取り組みを進め、持続可能な交通ネットワークの確立を図ること。郊外のバス路線については、現状維持を基本とし、公共交通の利便性向上と地域の足の確保に向けた取り組みを進めること。

6 入札制度
 地元企業の受注拡大に向けた取り組みを一層推進するとともに、入札制度の最低制限価格の見直しや総合評価方式の更なる拡大に取り組むこと。また、市が発注する公共事業の現場で働く労働者が、公正な雇用・労働条件の下で働くことができる仕組みを構築すること。

【重点項目】

1 暮らし・地域コミュニティ・防災
(1)災害から市民を守るまちづくりを進めること。
①冬季防災訓練を実施すること。
②避難時の生活改善に向け、避難所の機能を強化すること。
③災害弱者対策を前提とした防災計画や避難所運営に取り組むこと。
④病院や避難所となる民間施設の非常用電源確保に関する取り組みを支援すること。
⑤道路や橋等の点検・補修を確実に行うなど、ライフラインの耐震対策を計画的に進め、まちの強靭化を図ること。
⑥介護サポーター事業のレベルアップを図り、認知症やフレイル予防の充実を図ること。

(2)地域コミュニティの再生及び活性化を図るとともに、ライフステージや身体状況に応じた住まいの確保に取り組むこと。
①地域の課題解決に向けて活動している団体への支援を行うこと
②単身高齢者等の民間賃貸住宅への入居を支援するとともに、入居から退去までの困りごとをサポートすること。
③生活に困窮している高齢者が居住する共同住宅において、食事や生活支援等のサービスを提供している団体への支援に向けた取り組みを進めること。
④子育てやビジネス起業など若年層のニーズを捉えた移住・定着の方策について、空き家活用を含めて検討を進めること。
⑤外国人患者の受入体制の整備を促進し、災害時の外国人支援を充実させるなど、外国籍市民や留学生が安心して暮らせるまちづくりを進めること。

2 医療・福祉・介護
(1)安心して福祉や介護のサービスを受けることができる地域づくりを進めること。
①基幹的な相談・支援の拠点として区役所の機能強化を図ること。
②医療・介護関係者の相談窓口を設置し、退院時や在宅療養などにおける医療と介護の連携
をサポートすること。
③特別養護老人ホームの定員を拡大すること。
④救急隊を増強するとともに、研修及び救急資器材を充実させること。
⑤高齢者の多様な働き方や就業ニーズに対応できる窓口の一元化(ワンストップ)を図ること。
⑥ケアラーを支える地域づくりを推進するため、各種施策を総合的に推進すること。

(2)市民の健康寿命を延ばし、元気な高齢者の社会参加を支えること。
①「さっぽろ受動喫煙防止宣言」に基づき、完全分煙のまちの実現に向けた取り組みを進めること。
②がん予防、早期発見・早期治療等、がん患者とその家族の支援を含めた総合的ながん対策を推進するとともに、がん患者の復職・再就労に向けた体制整備を進めること。
③乳幼児期や学童期のほか、高齢者や障がい者の歯科保健を充実させるとともに、歯周病健診の受診率向上に向けた取り組みを進めること。
④ボランティア活動など社会参加の機会を増やし、健康で生きがいのあるまちづくりを進めること。

(3)障がい者を支え、自立を促進する取り組みを強化すること。
①重度訪問介護や日常生活用具等の給付を拡充するとともに、介護する方への支援を充実させること。
②障がいに応じたコミュニケーション手段について、市民の理解促進を図るとともに、利用機会の拡大とコミュニケーション支援者の養成に向けた取り組みを進めること。
③カラーユニバーサルデザインの促進、旅客施設や車両、民間の公共的施設などのバリアフリー化を推進するとともに、心のバリアフリーの更なる普及啓発に取り組むこと。
④ひきこもりの当事者や家族などが集う「引きこもり者の居場所」の常設を検討すること。

3 子育て支援・教育
(1)保育を必要とする方が利用できる環境整備に取り組み、待機児童ゼロ対策を推進すること
①「保育士・保育所支援センター」の機能強化や待遇改善など、保育人材の確保に向けた取り組みを更に進めること。
②保育供給量が不足している一部地域では、受け皿確保に努めつつ、定員割れをしている施設には柔軟な定員増減など、保育の質の維持、向上に資する取組みを進めること。
③妊娠期から出産・育児まで各段階に応じた切れ目のない支援を充実させるとともに、産後うつ等の予防を図るため、産後ママの健康をサポートすること。
④子育て世帯が情報交換できる場を充実させるなどの環境づくりを進めること。
⑤様々な保育ニーズに対応するため、延長保育や休日保育、幼稚園における一時預かり、病後児デイサービスを充実させること。
⑥乳幼児虐待予防強化事業(妊娠SOS)の充実に取り組むこと。
⑦ひとり親の通院費の助成を図ること。

(2)子どもが健やかに育つ環境づくりを進めること。
①小学校にまちづくりセンターや児童会館等を併設し、多世代交流を促進する地域の新たな拠点づくりを計画的に進めること。
②第二児童相談所開設に向けた環境整備の充実や、児童相談所や区の家庭児童相談室の機能と専門性強化に向けた取り組みやLINEによる相談支援を進めること。
③医療や障がい福祉、保育、教育など、関係分野の連携体制を構築し、医療的ケアを要する子どもたちへの対応を充実させること。
④社会的養護が必要な子どもの安定した生活環境を整えるために、社会的養護施設の人材確保に向けた取り組みを進めること。
⑤社会全体で里親家庭を支援する意識の醸成を図る取り組みを進めること。
⑥障害の有無などによって学ぶ場や環境を分けられることなく、共に学ぶインクルーシブ教育を充実させること。
⑦学びのサポーター制度の更なる充実を図ること。

(3)子どもの貧困対策の強化と「学び直し」の機会をつくること。
①生活困窮世帯等の子どもの学習支援や奨学金制度など、就学支援の更なる拡充に取り組むこと。
②子どもの居場所づくりを担う「子ども食堂」等を支援すること。
③社会的養護の子どもが、進学を目指すための学習支援の更なる拡充に取り組むこと。

(4)子どもの多様な学びを支える活動を充実させること。
①少人数学級の対象学年拡大など、少人数教育の一層の充実に向けた取り組みを進めること。
②中学校の運動部活動への支援強化として、アスリート派遣の拡大や指導経験者がいない学校などへの外部人材の活用を進めること。

(5)子どもが安心して暮らせる環境をつくること。
①学びのサポーター制度の更なる拡充に取り組むこと。
②いじめの早期発見や自殺の未然防止に向け、SNSを活用した相談方法の周知を図るとともに、相談窓口並びに学校における相談体制を強化すること。
③障がいや不登校、日本語の指導が必要な子ども等への支援充実のため、「学びの支援総合センター」の機能強化を進めるとともに、フリースクールの活動を引き続き支援すること。

4.経済・雇用
(1)中小企業や商店街の活性化を支援すること。
①商店街や加盟店舗の魅力向上に取り組む商店主を応援すること。
②中小企業の生産性向上に向けたIoTやAI等の技術の導入を支援すること。
③企業の人材確保を支援する相談窓口を設置すること。

(2)企業誘致を推進し、次世代型産業支援や人材育成に取り組むこと。
①健康や医療を切り口とした新たな産業集積に向け、産学官の連携強化を図るとともに、先端医療研究を活用した企業の取り組みを支援すること。
②xR技術やeスポーツなどの分野で事業展開を目指す企業を応援し、IT・クリエイティブ産業の活性化を図ること。
③札幌発介護ロボットの開発に意欲を持つベンチャー企業の育成に向けた支援を行うこと。
④ITニーズの拡大を踏まえ、IT人材の確保に向けた取り組みを支援するほか、AIやIoT等の先端技術を高度に駆使できる人材の育成に取り組むこと。

(3)外国人観光客の受入環境の充実と観光資源の魅力アップに取り組むこと。
①経済効果の高い海外の富裕層をターゲットとした施設整備を支援すること。
②大規模な国際会議を開催できる新たなMICE施設の整備に向けに情報収集に努めるとともに、中島公園駅周辺のまちづくりに取り組むこと。
③夜景観光を推進するとともに、外国人向け「夜観光」を充実させること。

5 環境・共生社会
(1)SDGsへの取り組みを進め、「住み続けられるまち」を目指すこと。
①札幌市の施策全体を「持続可能な開発目標(SDGs)」の視点から捉え直し、多様な主体と連携して持続可能なまちづくりを推進すること。
②地域新電力事業の展開により、再生可能エネルギーを活用した電力の供給体制構築に向けた取り組みを進めること。
③温室効果ガス排出量削減に向け、市有施設の照明設備のLED化を前倒しすること。
④都心部でコージェネを核としたエネルギーの面的利用の拡大を図り、世界のモデルとなるエネルギー施策と連動したまちづくりを推進すること。
⑤積雪寒冷地に適した省エネオフィスビルとして札幌版「ZEB(ゼブ)」のモデルを構築し、市有施設への導入と民間建築物への普及促進に取り組むこと。
⑥既存の戸建住宅や集合住宅の高断熱・高気密化、さらには「ZEH(ゼッチ)」化に向けた取り組みを進めること。
⑦里山の活性化を図るため、森林と農地の一体的な管理と資源の活用について検討すること。

(2)互いの個性や違いを認め合う、成熟した寛容なまちづくりを進めること。
①平和と共生社会の実現を目指し、国籍、民族、多様な性、障がいなど、あらゆる事由による差別の解消に向けた、人権尊重の取り組みを推進すること。
②性的マイノリティの当事者が抱える困難や実情を把握し、引き続き電話やSNSなどによる相談を実施し、官民問わず啓発に取り組み、性的マイノリティに対する理解促進を図ること。
③配偶者等からの暴力被害について、より相談しやすい環境や「DV加害者更生プログラム」を含めた支援体制を整備するとともに、被害者の自立に向けたサポートを充実させること。
④ジェンダー平等を実現する取り組みを促進すること。
⑤ワーク・ライフ・バランスや女性が働きやすい環境づくりを進める企業の取り組みを支援援すること。
⑥「女性の働き方支援窓口」の取り組みを推進し、きめ細かな支援を行うこと。
⑦動物愛護の普及啓発や教育の充実に向けた取り組み進めるとともに、犬や猫の殺処分ゼロや収容中の死亡を減らす取り組みを引き続き進めること。

6 まちづくり・スポーツ・文化
(1)誰もが「歩いて暮らせる」まちづくりに取り組むこと。
①札幌ドーム周辺の土地利用のあり方を検討し、地下鉄清田方面延伸の可能性を検証すること。
②都心の回遊性を高め、快適で賑わいのあるまちづくりを支える「地下歩行ネットワーク」の拡充に取り組むこと。
③都心部や駅周辺の駐輪場整備を進め、放置禁止区域を拡大するとともに、自転車と歩行者が安全に通行できる環境整備を進めること。

(2)都心のリニューアルと市内及び広域交通網の充実・整備を進めること。
①低炭素・省エネルギー化の推進や都市機能の確保に向けた民間投資を喚起すること。
②都心アクセス道路の建設に向けて、国との連携や市民との情報共有を一層進めること。
③丘珠空港の利活用促進に向けた検討を進めること。
④敬老パスのJR北海道(市内)利用実現に向けた検討を進めること。

(3)冬季オリンピック・パラリンピックを招致すること。
①持続可能な大会モデルを世界に示し、未来を担う子どもたちに夢と希望を与える「冬季オリンピック・パラリンピック」の招致に向けた取り組みを進めること。また、クリーンな大会に位置づけに向けと検討と市民理解を求める取組みを進めること。
②ウインタースポーツの振興と競技力の向上に向け、冬季版「ハイパフォーマンスセンター」の誘致を進めること。
③障がいの有無に関わらず、誰もがスポーツを楽しめる環境をつくること。

(4)スポーツによるまちづくりを進めること。
①市内スキー場のリゾート化を推進し、インバウンドの拡大を図るとともに、道内他都市と連携し、スキーリゾートエリアとしての世界的ブランドの確立に向けた取り組みを進めること。
②大通公園などの市街地においてクロスカントリー競技大会を継続的に開催すること。
③札幌ドームが持つ多目的市民利用施設としての能力、可能性を最大限発揮させるため、利活用の裾野を広げるとともに、企画・運営を強化する取り組みを進めること。
④道内のプロスポーツチームの更なる発展と振興に向けた取り組みを進めるとともに、引き続き、身近でプロ競技に触れられる文化の根付きを推進すること。

(5)文化・芸術を活用した豊かなまちづくりを進めること。
①札幌・北海道発の舞台芸術を創造、発信するとともに、文化に彩られた豊かな市民交流とまちの賑わいを生み出すこと。
②演劇・音楽・ダンスの公演や美術展などの一層の推進を図るとともに、オンライン配信等のコロナ過で培ったノウハウを活用して札幌・北海道の魅力を世界に発信すること。
③アイヌ文化の魅力を発信する取り組みを図り、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現すること。
④「(仮称)札幌博物館」の整備に向けた検討を推進すること。

7 行財政運営・デジタル社会の推進
(1)市民サービスの向上に向けて、市役所の組織・業務を見直すこと
①デジタル技術を活用し、行政手続きの簡素化、働き方改革、教育の情報化を進めることで市民生活をより豊かなものにしていくこと。
②デジタル・トランスフォーメーションの推進にあたっては、行政手続きのデジタル化のみならず、デジタル・ワークスタイルの推進等による職員の働き方改革、負担軽減に取り組むこと。
③SNSを活用した相談業務の充実やAIを活用した市民への情報提供など、市民サービスの更なる向上に向けた取り組みを検討すること。
④モバイルワークの拡大により、業務の効率化や生産性の向上を図り、市民サービスの質を向上させるとともに、多様で柔軟な働き方を検討すること。
⑤まちづくりへの投資と財政規律のバランスを図り、将来世代に過度の負担を残さない健全な財政運営に取り組むこと。