第2回定例市議会
第2回定例市議会の代表質問が5月30日に行われ、民主市民連合が登壇した。大雪時の対応に関する検討が進められる中、秋元市長は「作業体制やダンプトラック、雪堆積場を、状況に応じて速やかに増強する仕組みなどについて議論を重ねている」と述べ、8月末をめどに効果的な対応策を確立させると答えた。
環境負荷低減を
新たな融雪技術の活用
昨冬の記録的な大雪では、排雪用ダンプの不足に加え、一部の雪堆積場が例年よりも早期に閉鎖した。このため、遠方の雪堆積場まで運ばざるを得ない状況が発生し、排雪能力は半分以下となり、市民生活に大きな影響を及ぼした。
「地中熱の熱交換方式によるロードヒーティング」に着目し、環境負荷の少ない新たな融雪技術の活用・検討に取り組むよう提起。市長は「排雪作業のさらなる省力化に加え、CO2排出量の削減効果も期待できる」と述べ、国や民間の技術開発の動向を注視し、札幌市での活用について研究したいと答えた。
国土交通省は「先端技術などによる自然エネルギー、ローカルエネルギーを活用した融雪技術」の公募を実施している。近年、採用例が増えている「地中熱の熱交換方式によるロードヒーティング」について、「将来的な活用が期待できる」と述べ、国を巻き込みながら新たな雪処理手法を模索していくよう求めた。
よりきめ細かに
土砂災害避難情報の発令
土砂災害に係る避難情報の発令について市の考えをただした。札幌市内の土砂災害警戒区域は現在997カ所あり、降水量が増える出水期に避難情報を発令する場合、札幌市は警戒区域を基本とし、隣接する警戒区域を包括して避難対象区域を広範囲に設定している。
うるしはら市議は、住民の安全確保を第一とし避難対象区域を設定する現行の考え方は「理解できる」としつつも、実際の避難行動は住民にとっても負担となることから「配慮も必要」と指摘。大雨予報の精度も向上する中、土砂災害に係る避難情報の発令にあたっては、住民の安全確保に支障のない範囲で避難対象区域を絞り込み、よりきめ細かな避難情報を発令できるよう、検討すべきと求めた。
市長は、高度化が進む土砂災害警戒情報システムや気象予報技術の動向を注視し、よりきめ細かな避難情報の発令につなげられるよう、訓練等を通じ情報の活用方法を検討していくと述べた。
さらなる活性化へ
積極的な関わりを求める
旧白石区役所跡地の公募提案型売却に関する最優秀提案者が決定したことを受け、「民間都市開発による建て替えを通じ、新たなにぎわいや生活の利便性向上が期待される」と強調。「(同所跡地がある地域を)区の北と南を結ぶ拠点としてまちづくりを推進することで区全体の発展につながる」と主張した。
最優秀提案者は社会医療法人北楡会とアインホールディングスの共同事業者。病院と、医療福祉の複合施設「健幸サポート施設」を造る計画で、地域住民の利用を想定したワークショップスペースや健康増進につながる屋外広場が整備される予定。
周辺地域のまちづくり活動のさらなる活性化に向け、「地域住民・事業者・行政の連携による取り組みが行われるよう、積極的に関わっていくことが重要」と提起。吉岡副市長は、施設の設計段階から町内会や地域住民の声を聞く機会を設けるよう事業者に対し助言などを行うと答えた。
量から質への転換
付加価値の高いツーリズムに
コロナ禍で変化した観光意識を踏まえ、「量から質への転換を図る必要がある」と指摘。札幌の自然や食、夜景、温泉といった地域の資源を組み合わせることで、「付加価値の高いツーリズムに仕立てることが可能」とし、札幌市の考えをただした。
石川副市長は、優れた素材を生かした旅行商品の造成や観光人材の育成に対する支援を通じ、「札幌ならではの付加価値を高めたツーリズムを充実させる」と答えた。
コロナ禍を背景として、「一人旅」「少人数の旅行」を意識する人の割合が高くなっているほか、外国人旅行者の意識も買い物を中心とした「モノ消費」から、体験やサービスを重視する「コト消費」へと変化している。
飲食店等に対する支援についても質問。石川副市長は、事業継続を図るため、販路拡大や事業再構築などの経営改善に寄与する取り組みに対し、引き続き支援していくと述べた。
支援体制の整備検討
社会的養育経験者の自立支える。
児童養護施設や里親の元を離れた人など社会的養育経験者の自立に向け、支援体制を整備するよう求めた。
今年5月に衆院で可決(6月に参院可決)された改正児童福祉法には、継続して社会的自立に向けた支援を受けることができるように支援対象者の年齢要件の弾力化などが盛り込まれている。
「改正法は2年後に施行されるが、公的措置を終えた後の自立支援や、退所者の生活状況の把握も継続的に行い、困難を抱えた人を経済的・精神的にフォローする体制づくりを検討すべき」と指摘。今後どのように社会的養育経験者の自立支援に取り組んでいくのかとただした。
町田副市長は、改正法の施行を見据え、年齢の壁を越えて自立に向けて支えていくことができるよう、施設や里親、関係団体と協議しながら支援体制の整備を検討していくとした。
当事者意見の反映
次期さっぽろ障がい者プラン
共生社会の実現に向けた取り組みでは、2023年に策定予定の「次期さっぽろ障がい者プラン」について質問した。
これまで市は、障がい者施策の指針となる「さっぽろ障がい者プラン」に基づき、具体的な配慮や支援等の在り方を検討しながら、施策を展開してきた。「次期プラン」について、「障がいのある人や家族、関係者等の状況やニーズなどを適切に把握し、それらを反映した障がい者施策を実現していくことが重要」と述べ、見解を求めた。
町田副市長は次期プランの策定について、「当事者や家族から生活上の課題や要望などを伺うとともに、市民や企業に対しても心のバリアフリーや障がい者雇用などについての意識調査を行う」と説明。「障がい者のニーズはもとより、社会情勢の変化を含め、現在策定中の国の新たな基本計画を踏まえ、共生社会の実現に向けた効果的な取り組みを次期プランに盛り込んでいく」と答えた。
連続化は手法の一つ
市民の声を聞き丁寧に議論
今年3月、都心のみどりづくりの方向性を定めた「都心のみどりづくり方針」の中間とりまとめ案が札幌市緑の審議会で示された。審議会では、大通公園の連続化を含めて検討していく考え方が示された。しかし、多くの報道機関で連続化が決定事項のような表現で取り上げたことで、市民から大きな反響があった。
「連続化だけを議論の中心とするのではなく、大通公園の美しい景観をどのように守り、本市を象徴する公園として次の世代へ引き継いでいくのかが本来論じられるべき」と述べ、見解を求めた。
市長は「都心のみどりづくり方針」で大通公園の再整備や官民連携による機能の向上、沿道との連携によるみどりの強化などを掲げているとし、「公園の連続化はその中で示した手法の一つ」と答弁。今後の大通公園の在り方については、都心のまちづくりの影響や効果を十分考慮しつつ、市民や関係者などの声を聞きながら、慎重かつ丁寧に議論していきたいと答えた。