第2回定例市議会(報告)

 第2回定例市議会が6月21日開会し、今後10年間のまちづくりの指針「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」の策定に向け、秋元市長は「持続可能な社会の実現に向け、多岐に渡る分野で調和ある発展が必要」として、SDGsの理念やゴールを踏まえた目標設定のほか、社会・経済・環境の連動による、統合的な課題解決に向けた分野横断的な検討を進めるとした。会期は7月8日までの18日間

市政運営方針

次なる100年の土台に 

第2次まちづくり戦略ビジョン 

 第2次ビジョンは市制施行100周年を迎える22年度を開始年度とし、計画期間は31年度までの10年間。策定に向け、健康やICT(情報通信技術)、防災分野等の有識者や公募委員らで構成する審議会が発足し、議論が進められている。
 超高齢社会が進展し、生産年齢人口が減少する中、「ICTの利活用は本市が抱える課題解決に欠くことのできない重要な要素」、「災害の教訓や感染症対策も第2ビジョンに反映させることが必要」などと指摘。市長は、自然災害の発生や感染症の拡大を踏まえ、ICTなどの活用によって、社会経済活動の利便性や継続性を向上させることが重要との認識を示した上で、「審議会には、札幌の次なる100年の土台となる10年のまちづくりの方向性を示唆する答申をいただきたい」と述べた。
 札幌市の中期実施計画「アクションプラン2019」については、感染症の拡大に伴い、特に「産業・活力」の分野で計画事業の進捗(しんちょく)に影響が生じていると答弁。こうした中、感染拡大の防止や事業の継続をはじめ、デジタル化の促進にも注力し、「社会経済情勢の変化に柔軟に対応してきた」と述べた上で、今後も計画事業の進捗を検証するとともに、感染症による市民生活や市内経済への影響も踏まえ、計画事業の見直しや新たな事業を実施し、複雑多様化する地域課題や市民ニーズに的確に対応したいと答えた。

財政運営

財調基金の活用求める

「躊躇なく財政出動行う」

 「現下の状況は災害レベル。(札幌市の貯金に相当する)財政調整基金については、100億円を下回ったとしても必要に応じて活用すべき」とし、見解を求めた。同基金は21年度当初予算とこれまでの補正予算を含めて92億円取り崩した結果、21年度末残高は64億円となる見通し。アクションプラン2019では、22年度末残高を「100億円以上の水準を維持する」としている。
 市長は、感染症の影響で一部事業の規模が縮小するなど、20年度決算では「余剰金が生じる見通し」と説明。余剰金の積み立てを勘案すると、同基金の残高はある程度回復する見込みとし、今後も不測の事態に備え、適切な水準を維持していくと答えた。
 市長はまた、「今後も同基金のさらなる活用を含め、ちゅうちょなく財政出動を行う」とも表明。プラン2019で計画化された事業については、「所期の目的を達成できるよう取り組む」とし、財源確保に向けて、実施時期の見直しや経費の精査・節減のほか、地方創生臨時交付金の増額など、国に対して財政措置の拡充を要望していくと述べた。

新型コロナウイルスワクチン

接種の加速化図る

週13万回の接種能力確保

 ワクチン接種の加速化を図るため、市長は7月17日から市内4カ所目となる集団接種会場を東区の「つどーむ」に開設し、集団接種会場分で週5万回の接種能力を見込んでいると答弁。個別医療機関での接種についても「週8万回の接種能力を確保した」とし、8月末までには全市民の5割が接種できる能力の確保を目指すとともに、着実にワクチン供給が行われるよう、国に要請すると答えた。
 各会場や医療機関で接種業務に慣れてくると、スピードも上がり、「優先接種や一般市民への接種時期も変わる可能性がある」との指摘に対しては、予約の空き状況に応じて、順次、予約受け付けを開始することにし、16~64歳の市民への接種券を13日から一斉に発送すると答えた。
 接種を円滑に進めるための組織体制を構築しなければならないとも指摘。市長は「職員7人で構成する担当部署を立ち上げて以降、増員し、現在35人体制」と述べるとともに、医療機関との連携・調整を図るため、庁内から20人程度の応援職員を動員するなど、全庁一丸となって接種事業を推進していると説明した。 

エネルギー政策

都心まちづくりと連携

低炭素で強靱な熱利用を展開

 都心部で民間事業者との連携による再開発が進められていく中、利便性の向上に加え、「環境に優しく、かつ都市の強靭化につながるエネルギー利用の拡充が求められる」と提言した。
 都心部での熱供給事業について、市はこれまで民間都市再開発事業の機会を捉え、熱導管ネットワークの拡充や、コージェネを導入した災害に強いエネルギーセンターの整備を推進。これに加え、吉岡副市長は、再開発等の計画段階における新たな事前協議制度を22年度までに構築し、容積率の緩和制度も活用しながら、地域熱供給の接続利用やエネルギーセンターの整備を一層進めると述べた上で、「こうした取り組みを熱供給事業者と協働で進めることで、都心のまちづくりと連携した低炭素で強靱な熱利用を展開する」と答えた。
 「より安全・安心なエネルギーの利活用を都心部のまちづくりと連動して進めていくことが都市の強靭化に寄与する重要な取り組みだ」と強調。また世界的な環境意識の高まりを受け、「熱供給事業の役割はさらに大きくなっている」と主張した。

大規模災害の発生に備えた対応

円滑な避難体制を 

避難確保計画の策定促す 

 今年4月に水防法を含む流域治水関連法が改正され、要配慮者利用施設に義務付けられている避難確保計画の策定や訓練に対し、市町村が助言・勧告できる旨の条項が新たに規定されたことを受け、「施設利用者の円滑かつ迅速な避難の確保をより図る必要がある」と指摘。町田副市長は、避難確保計画の策定や更新、訓練の実施状況などを把握し、助言・勧告を行えるよう、施設管理者等と情報共有できる体制づくりを進めると答えた。
 全国各地で水災害が激甚化・頻発化する中、国交省は、気候変動の影響に伴う降雨量や洪水発生頻度を試算し、温暖化で気温が2度上昇した場合、21世紀末に全国平均で降雨量が1・1倍、洪水発生頻度は2倍になると公表。また、4度上昇した場合、北海道の降雨量は1・4倍になることも示している。
 町田副市長は、円滑な避難体制の確保を図るため、市内の要配慮者利用施設約2400のうち、避難確保計画の策定が済んでいない4割(20年度末)の施設に対し、年度内の計画策定と訓練実施を働きかけていると説明した。  

観光施策

定山渓の集客促進 

国の事業活用し、魅力アップへ 

 観光施策では新型コロナで大きな影響を受けている定山渓地区への支援拡充を求めた。
札幌市が今年度、定山渓観光協会の協力をもとに作成した「定山渓地区観光拠点再生計画」が観光庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」に採択された。同事業は老朽化施設の解体や宿泊施設の高付加価値化など、これまで手が付けにくかった事業に着手できる内容で、現在、各宿泊事業者が補助申請の準備を進めている。
 同事業により「定山渓地区が大きく変わる可能性がある」と期待を寄せた上で、経済産業省の「事業再構築補助金」を活用したアドベンチャーツーリズムの拠点整備など、新たな魅力づくりにチャレンジする動きを例示し、「国の補助制度を踏まえ、今後どのように定山渓地区を支援していくのか」と質問した。
 石川副市長は、新型コロナの感染状況を注視しながら集客促進策を機動的に進めることに加え、「景観改善や富裕層対応など、温泉地の魅力を高める施設整備について、国の事業の活用も図りながら進める」と答えた。  

出資団体の在り方に関する基本方針

実効性ある計画を 

年内に次期行動計画を策定 

 札幌市の出資団体に関し、「民間の知恵とノウハウを活用しながら、地域で公益的事業を進める重要な役割を担っている」と強調。「市出資団体の在り方に関する基本方針」に基づく行動計画が20年度で終了し、新たな行動計画の策定にあたっては、各団体での新型コロナの影響を踏まえつつ、実効性ある計画とすべきと提言した。
 町田副市長は、出資団体は市の施策を補完・代行することを目的として、「札幌市が主体的に設立した団体であり、まちづくりのパートナーとしての重要な役割を担っていただくことが肝要」と答弁。次期行動計画については、感染症の影響による社会経済情勢の変化や各団体の決算状況を踏まえるとともに、団体の自立性を高めつつ、札幌市の施策との連携を進め、団体を有効に活用するという方針のもと、年内に策定すると答えた。
 新たな行動計画を策定の上、「各指定団体の自立性を高めつつ、札幌市の出資や人的関与の在り方に関する取り組みを管理することが必要」と主張した。

困難を抱える方々への支援

次期貧困対策計画策定へ

10月に生活実態調査を実施

 町田副市長は、子どもの貧困対策の充実に向け、今年10月に「子どもの生活実態調査」を実施する方針を示した。「子育て世帯の生活や意識の変化を的確に分析し、次期子どもの貧困対策計画を実効性のあるものとすべき」と質問したことに答えた。
札幌市は2016年度に子どもの生活実態調査を実施し、18年度からの5年間を計画期間とする「子どもの貧困対策計画」を策定した。10月に行う予定の調査は、新型コロナの影響も踏まえた実態把握が重要になる。
 町田副市長は調査について、子どもと保護者計1万人以上を対象とし、前回調査した就業や家計、子どもの学習や居場所などに加えて、新型コロナの影響など、子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた調査項目を想定していると説明。また、支援団体や困難を抱える子どもへのヒアリングも実施し、アンケート調査では捉えきれない生活実態を把握したいと述べた。  

介護人材の確保

定着支援策の充実を

介護需要の増加に対応

 慢性的に不足している介護分野での人材確保策については、定着支援の取り組みを充実させるよう提案した。
札幌市が市内の事業者を対象とした「介護保険サービス提供事業者調査」によると、介護サービス事業所の運営に関して、約半数の事業者が「人材の育成が難しい」と回答している。
生産年齢人口が減少に転じている中、これまで以上に介護人材定着支援の施策展開が必要になると指摘した上で、「さらなる介護需要の増加に向けて、介護を取り巻く環境をどのように認識し、検討を進めていくのか」とただした。
 町田副市長は、介護現場でのAI・ICT化の支援に加え、介護職員等の業務を洗い出し、専門性に応じた役割分担を目的に、介護助手といった職種の雇用を進め、高齢者など多様な人材の参入を促す等、業務効率化を進める事業者に対し支援を検討すると答えた。また、コロナ禍で離職などを余儀なくされた求職者に対し、「さっぽろ給付金付き再就職支援事業」を通じて介護職へのキャリア転換を支援しているとし、今後も介護人材不足の解消につなげていく考えを示した。

ヤングケアラーへの支援

秋に実態調査を実施

実情踏まえた対策を検討

 町田副市長は、ヤングケアラーへの支援に向け、国の実態調査の結果と市の実情を踏まえた対策を早急に検討し、支援に積極的に取り組む考えを示した。
 大人が担う家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子どもを指すヤングケアラーへの支援が喫緊の課題となっている。国は今年3月、ヤングケアラーへの支援のためのプロジェクトチーム(PT)を設置。PTは、ヤングケアラーの早期発見と、支援につなげるための方策を検討し、今年5月に今後の支援策をまとめた報告書を公表している。
 「ヤングケアラーの問題は子どもの権利擁護の観点からも喫緊の課題。速やかに支援に取り組むべき」と指摘。町田副市長は、ヤングケアラーに関する実態把握については、昨年8月から関係部局が連携を図っており、国の実態調査の結果を受けて、札幌市としても今年秋の実態調査の実施に向けて具体的な検討を行っていると説明した。  

性的マイノリティに関する取り組み

生きづらさの解消を

経済団体等と連携し、理解深める

 性的マイノリティの人たちが安心して生活できる環境を整える施策を進める観点から、札幌市の取り組みをただした。
6月16日に閉会した第204回通常国会では与野党で合意していたLGBT理解増進法案の提出が自民党内の反発で見送られた。自民党内からは「LGBTは種の保存に反する」といった差別的な発言もあり、性的マイノリティの人たちへの差別や偏見を解決する姿勢が見えない政治の在り方に厳しい目が向けられている。
 札幌市は、政令指定都市でいち早くパートナーシップ宣誓制度を4年前に導入するとともに、LGBTに関する企業での取り組みを推進することを目的とした「LGBTフレンドリー指標制度」を併せて創設。これを契機に当事者を講師としたセミナーや出前講座を開催するなど、市民の理解促進に向けた啓発を行っている。
 石川副市長は、経済団体等との連携を図り、当事者や支援者の活動に企業などの参画を促すことで理解をさらに広めていくなど、性的マイノリティの人たちの生きづらさの解消に向けて積極的に取り組んでいくとした。 

教員を取り巻く課題解決に向けた取り組み

長時間労働解消が急務

子どもたちと向き合える環境を 

 教員の長時間労働解消や業務負担軽減に向けて、札幌市教育委員会は、市教委内にワーキンググループを設置したほか、スクールロイヤーの配置や転送電話の導入など、職場環境の向上に取り組んでいる。しかし20年度の時間外勤務は依然として月約40時間と、教員の働き方改革や業務改善が急務となっている。
 新たな業務が増えていく環境下で新型コロナが拡大し、学校現場に大きな影響が出ていると指摘。「学生が教員を敬遠する動きも見られる。教員を取り巻く課題に対し、どのように取り組むのか」と見解を求めた。
 檜田教育長は「教員の負担が増していることは課題。教員を目指す人材の確保にも影響を及ぼす恐れがある」との認識を示し、ICTを活用した校務の効率化などの働き方改革を進めているほか、大学と連携して学生に教職の魅力を伝える取り組みを始めたと答弁。「今後も、市教委と学校が一体となって課題の解決に取り組み、教員がゆとりを持って子どもたちと向き合える環境づくりに努める」とした。