令和2年第4回定例市議会代表質問

令和2年第4回定例市議会代表質問

 第4回定例市議会の代表質問が12月3日に行われ、民主市民連合を代表して、新型コロナウイルス感染症対策や2021年度予算編成に対する考え方など11項目を質問した。

財政運営

財調基金活用を

市民生活を守り抜く

 財政運営では、新型コロナウイルス感染拡大が長期化し、市税収入や雇用環境のさらなる悪化、社会保障費への影響が危惧される中、国の財政支援を待たずに財政調整基金(財調基金)を躊躇なく活用すべきと提言。秋元市長は、産業や雇用、市民生活を守り抜くためには、感染拡大防止に向けた対策と、生活と経済の維持・回復策を最優先で進める必要があるとの認識を示し、追加の補正予算を含め、躊躇なく財政出動を行うとの考えを示した。
 2021年度予算編成については、「アクションプラン2019で計画化された事業の方向性は現下においても大きく変わらないが、社会経済情勢の変化を踏まえ、ターゲットや事業手法の見直しを行いながら、柔軟かつ着実に実施していく」と答弁。また、経費節減で100億円規模の財源を確保した枠を活用し、感染症対策やウィズコロナ・アフターコロナ時代に取り組む事業者への支援など、新型コロナを前提とする新しい社会へ転換する取り組みに力点を置くと答えた。

新型コロナ対策

職員の負担軽減を

従来の手法では限界

 新型コロナ対策では、保健所等の体制強化について質問した。感染症の急増に伴い、市は濃厚接触者の特定やPCR検査の拡充などを進めるため、11月までに各局から約300人規模の応援職員を保健所などに配置し体制を強化。しかし、市内の医療機関や高齢者施設でクラスターが発生するなど、保健所や応援職員を派遣した各局では日常業務に影響を及ぼしかねない状況となっている。
 今後も感染拡大が進むと応援職員を確保しながら業務を行う従来の手法では限界があると指摘。職員の負担軽減のためにも、応援職員が担う業務で外部事業者に任せることができるものは民間の力も活用しながら、保健所の体制を強化していくべきと求めた。
 秋元市長は、今後の感染状況に応じて、中止や先送りする業務の範囲を拡大していく必要があるとの認識を示すとともに、職員を専門性の高い業務に集中させるため、より一層の民間活用に取り組むと答えた。

創造都市さっぽろ

芸術と創造産業の振興

メディアアーツ都市の魅力発信

 「創造都市さっぽろ」については、ユネスコ創造都市ネットワークや、コロナ禍を踏まえた今後の取り組みなどをただした。
札幌市は2013年、デジタル技術を用いた新しい芸術表現や創造産業の振興を目指す「メディアアーツ都市」として、ユネスコ創造都市ネットワークに加入した。
感染拡大の影響から札幌国際芸術祭をはじめとするイベントが中止となるなど、市民の創造性が失われることを危惧していると述べた上で、「メディアアーツ都市」として札幌の魅力を発信することが重要と提起した。
 秋元市長は、札幌国際芸術祭や先端テクノロジーを提案するビジネスコンベンション「ノーマップス」におけるメディアアーツの展開など、国際的な認知度を高めてきたと説明。コロナ禍であっても、市民、企業、大学、行政が連携して、先進的なテクノロジーと自由な発想の組み合わせによる相乗効果を発揮させながら、魅力と活力ある創造性に富んだまちづくりを推進していくとした。

成年後見制度の利用促進

市民後見人の活用

年度内に基本計画を策定

 成年後見制度については、現在策定している基本計画の考え方や、市民後見人の活用を提案した。
 成年後見制度は、認知症高齢者や精神障がい者など、判断能力が不十分な人を法的に保護するもの。国は2017年3月、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」に基づき、「成年後見制度利用促進基本計画」を閣議決定した。これを受けて地方自治体は、成年後見制度の利用促進に関する計画を定めるよう努めるとされている。
 札幌市は、弁護士会などの関係団体や札幌市地域福祉社会計画審議会権利擁護部会からの意見を聞きながら基本計画の素案をまとめ、パブリックコメント等を経て年度内に策定する予定。
 14年から始めている市民後見人制度を一層活用するための施策などを訴えてきたとし、市の考えをただした。町田副市長は、成年後見制度の利用促進に向けた協議会を設置する考えを示し、この中で、専門職後見人と共同で後見活動を行うことなど、市民後見人の新たな活用を検討すると答えた。

高齢者の介護支える人材確保

介護人材の処遇改善を

サービス崩壊を懸念

 厚労省は、2025年度に全国で34万人、北海道で2万人の介護人材が不足するとしている。現在策定中の札幌市高齢者支援計画2021(案)では、介護サービスに関する利用状況などの現状分析が行われているが、介護事業者の状況を見ると介護人材の確保が大きな課題として浮かび上がっている。
 「人材不足の根本的な原因は、労働に対する賃金が低いこと。コロナ禍で事業者や職員が疲弊している。過酷な状況が続き、人材が流出するとサービス提供体制が崩壊する」とし、市の考えをただした。
 町田副市長は、介護の仕事や魅力を伝えるPR動画の作成に取り組むほか、AI・ICTの活用や事務の見直しで介護職員の業務負担軽減を図ると説明。処遇改善については、「人材を確保する上で重要な課題と認識しており、引き続き国に要望していく」と答えた。

バイオ産業の振興

ベンチャー企業の育成

投資ファンドの創設も視野に

 「札幌はバイオ産業の集積地として、有望な研究のシーズ(種)を事業化に導く素地が備わっている」として、バイオベンチャーへの育成支援を拡充するよう求めた。
 北海道大学の北キャンパスには同大学の研究施設をはじめ、バイオベンチャーが低廉な価格で入居できる北大ビジネススプリングや、研究開発の支援を行う北海道科学技術総合振興センターなどが集積し、バイオ産業の活性化に関する全国有数の産学官連携拠点となっている。また、北キャンパス以外にも、医科、薬学、保健系の研究者を擁する大学や研究機関も数多く立地し、先進的な研究が進められている。
 石川副市長は「ベンチャー企業の育成は、医療分野の技術革新はもとより、理系人材の受け皿となる雇用の創出につながる」とし、バイオ分野に関心を持つベンチャーキャピタルとのマッチングのほか、投資ファンドの創設も視野に入れながら資金調達の多様化を図るなど、バイオ産業の発展につなげていきたいとした。

困難を抱える若年女性への支援

より適切な支援へ

アウトリーチ型の相談支援

 貧困や虐待など、幼少期からの養育環境で困難を抱えた思春期・若年期の女性は、地域や行政とのつながりも薄く、社会的に孤立している場合が少なくない。
 2歳女児の死亡事例に関する「市子ども・子育て会議児童福祉部会」の検査報告書の中で、「思春期・若年期に焦点を当てた支援の枠組みの創設」が必要とされているとし、思春期・若年期の女性を対象とした支援にどのように取り組んでいくのかと質問した。
 町田副市長は、若年女性を対象にした実態調査の結果を踏まえ、アウトリーチ型の相談支援を進めると答弁。若年女性の妊娠、出産、育児に関する支援については、「母子健康手帳交付時の面接から妊婦と寄り添い、切れ目のない支援を継続することが重要。医療機関や子育て支援を行っている関係団体との連携を図り、地域で支えるネットワークの充実に努める」と答えた。

都心のみどりづくり

創成川公園拡張へ

アクセス道路の整備と一体

 吉岡副市長は、都心と北ICを結ぶ「都心アクセス道路」の整備に合わせ、創成川公園を北側に拡張する考えを示した。
 創成川公園は2009年3月に開通した創成トンネルの地上部に11年4月に完成。長さは北1条から南4条までの約820メートル、幅30メートル。遊歩道を配置し、憩いの場として利用されている。
 都心アクセス道路の整備は国の事業で、札幌市は30年度末予定の北海道新幹線札幌延伸を見据え、来年度以降の事業着手を予定。都心アクセス道路が完成すると、片側3車線の地上部は2車線となり、車線減で生まれる敷地の公園化などを検討する。
 札幌市が策定する緑化推進の指針「都心のみどりづくり方針(仮称)」の早期策定を求めるとともに、創成川公園を北側に拡張するよう提案した。 

学校給食費の公会計化

具体的検討を進める

教職員の負担軽減

 長谷川教育長は、教職員の業務負担軽減や、より質の高い教育活動が期待されるとし、学校給食費の公会計化について、具体的な検討を進めることを明らかにした。
 現在、札幌市の学校徴収金の徴収・管理業務は、スクール・サポート・スタッフである校務助手等が担任外の教員などと連携して各学校で担っている。公会計化によって生まれる時間を教員へのサポート業務に充てることができ、既存の事務的業務も効率化されることから、教職員が連携して業務を分担する「チーム学校」としての体制が強化され、教職員全体の業務負担軽減につながることが期待されている。
 長谷川教育長は、公会計化への移行にあたっては、新たな徴収管理システムの開発をはじめ、業務執行体制の構築や関係規定の整備、関係団体との調整が必要になるとし、国のガイドラインや他都市の先行事例を踏まえ、検討を進めていくとした。

アスファルト再生事業

2022年度に終了し民間へ移行

アスファルト廃材の有効利用

 吉岡副市長は、再生アスファルト合材を生産する業務を2022年度に終了し、民間事業に移行する考えを示した。
 札幌市は道路工事から発生するアスファルト廃材を「有価物」と位置付けて市内3カ所の市専用プラントに搬入し、「再生アスファルト合材」として再利用しているが、公共工事専用としているため、廃材に余剰が出ている。
 吉岡副市長は「民間プラントに調査した結果、年間約10万トンの受け入れが可能であり、堆積している廃材約20万トンは2年程度でなくすことができる」と説明した。
 廃材から再生アスファルト合材の原料となる骨材を製造する際に発生する規格外の採石約11万トンの取り扱いに関する質問に対しては、民間事業へ移行する場合、プラントに残った規格外の採石は市の所有物であることから、建設局所管の資材置き場に運搬し、路盤材として活用すると答えた。

教育施策の充実

多様性尊重した教育を

当事者いることを前提に

 教育施策の充実では、①性的マイノリティの子どもに配慮した教育の充実②公立夜間中学③少人数学級─の3点質問。このうち、①では学校生活でいじめ被害を経験した性的マイノリティ当事者が約60%いるなどとした、宝塚大学・日高庸晴教授の19年意識調査を取り上げながら、「性的マイノリティの子どもたちの命と人権に関わる看過できない問題」と指摘した。
 長谷川教育長は「人間尊重の教育に取り組んでいくことが重要」との認識を示した上で、当事者や専門家の協力を得て、人間尊重の教育に関する指導の手引きや子ども向け啓発資料を新たに作成するなど、各学校のさらなる取り組みを支援すると答えた。
 調査は当事者1万人を対象に実施。約60%がいじめ被害を経験し、性的指向や性自認が暴露(アウティング)された人は約25%、さらに調査に協力した当事者のうち、社会人の約6,400人が職場や学校で差別的な発言を聞いた経験がある、としている。
 たけのうち市議は、性的マイノリティの子どもがいることを前提とし、性的指向や性自認は人それぞれ違うものという、多様性を尊重した学校教育を進めていくことが必要だと求めた。