令和2年第3回定例市議会代表質問
第3回定例市議会の代表質問が行われ、新型コロナウイルス感染症への対応や、22年度までの中期計画「アクションプラン2019」に掲げる事業の着実な実施を求め、質問に入った。
税収減を懸念
持続可能な財政運営
感染症の拡大を受け、「プラン2019」への影響を危惧していると指摘。秋元市長は「目指す方向性は大きく変わらない」として、計画事業については着実に実施すると表明した。
今年度予算では、プラン2019に掲げる事業のうち、全体の約9割に着手。一方、感染症の影響を受け、市が力を入れてきた観光分野では、インバウンド(訪日外国人)による外需獲得が見通せないなど、プラン2019への影響が危惧されている。
感染症拡大に伴う市税収入の落ち込みなどを懸念し、計画期間中の財源の見通しを明示した「中期財政フレーム」に与える影響についても質問。これに対し「財政収支への影響を見通すことが難しい状況にある」として、国の動向を注視しつつ、柔軟かつ持続可能な財政運営に取り組むと答えた。
感染症対策踏まえた市職員の確保
採用枠拡大を
人事委員会とも協議
感染症対策を見据えた市職員の人員体制と採用の考え方について、秋元市長は「コロナ禍での行政需要に応じた職員数を精査し、今後行う採用試験で必要な人員確保に努める」と答えた。
近年、官民ともに採用競争が激化し、札幌市職員採用試験の受験者数は減少。大卒の部の受験者数はこの5年間で4割近く減少し、合格者の1割超が辞退している。
新型コロナへの対応や市民生活に直結する施策を推進する上で、「市総体として職員を十分確保する必要がある」とし、職員の年齢構成を注視しつつ、高卒・短大卒を含めた若い人材の採用枠を拡大すべきと提言。秋元市長は、試験区分ごとの倍率や申し込み状況等を踏まえ、人事委員会とも協議していく考えを示した。
市は4月以降、延べ900人近い職員を保健所などへ配属。派遣元の職場では、人員が不足し、市民生活の低下を招いてしまうことなどが危惧されている。秋元市長は、今年度の採用試験に合格した大卒区分のうち、既卒者11人を前倒し、10月からの採用を予定していると答えた。
繁華街の感染症対策
取組店舗の拡大促す
安心して楽しめる地域に
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が懸念される中、「すすきの地区で実施しているPCR検査体制はしっかりと堅持すべき」と提言。秋元市長は「感染者数の推移などを注視しながら、継続していきたい」と答えた。
繁華街の感染症対策として、市は、感染防止策を講じるすすきの地区の飲食店等に対し、最大25万円を給付する事業を実施。今後、助成対象をすすきの地区全体に拡大する方針で、今定例会にはその事業費として4億3,800万円を追加する補正予算案を提出している。
秋元市長は、「地区全体の感染リスクを低減させるためには、多くの飲食店が対策を徹底することが重要だ」と説明。今後、取り組み店舗の拡大を促すとともに、対策の状況を広く発信し、市民や観光客が安心して訪れることができるよう努めていきたいと答えた。
代表質問の要旨
医療機関の経営・運営が厳しくなると、医療提供体制の維持は困難になる。市として、医療機関に対し、重点的な対応や支援を行うべき。
秋元市長は、個人防護具の提供や院内感染防止に係る整備のほか、国や道と連携し、空床補償といった財政面も含め、患者受け入れに必要となる体制整備への支援を行っている。より適切な感染対策が可能となるよう、過去の院内感染事例や疑似症患者の対応に効果的なリスク評価等の取り組みについて情報提供に努める。
市民の安全と命を守るためにも、「想定外の水害は起きる」ものとして、あらゆる状況を想定し、避難場所の設定や集団避難行動などのリスク回避策を講じるべき。
副市長 避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供しているほか、市が管理する中小河川の整備や、国が管理する河川についても、周辺自治体と共同で整備の要望を行うなど、減災対策を進めている。今後は、要配慮者施設においても、水害時の避難確保計画の作成を促すなど、水防災体制の充実に取り組む。
新幹線・トンネル掘削土の取り扱いに関し、手稲山口地区にあるごみ処理場予定地を転用することとした検討の経過を含め、対策土受け入れの事前調査実施に至った経緯を伺う。
副市長は、当該地はごみの最終処分場予定地として確保していた土地であり、近傍の最終処分場の地質調査結果や利用実績を鑑みると、受入地として適した土地と考えている。6月の住民説明会では、不安の声のほか、盛り土の安全対策の具体的説明を求める声もあり、それらに応えていくためにも、事前調査が必要だと判断した。
区役所全体が児童虐待の防止に向けて、有機的に機能する組織に変革するよう、先導する役割を果たすべきだ。虐待対策の中核となる子ども家庭総合支援拠点の設置に向けて、家庭児童相談室はどのような取り組みを行うのか。
副市長は、子ども家庭総合支援拠点が、区役所内外の子ども支援情報と機能の中核となり、要対協による見守り体制の確保や潜在する問題への適切な対応につなげられるよう確実に取り組んでいく。
感染症の影響による解雇や仕事の減少が、ひとり親家庭の生活を直撃している。ひとり親家庭の生活を支えるための施策を講じるべきだ。