第3回定例市議会

 第3回定例市議会の代表質問が始まり、新型コロナウイルス感染症対策を巡り、病床逼迫を招かないための取り組みとして、中等症や重症の患者数を減少させるための方策について質問。秋元市長は「ワクチン接種と抗体カクテル療法の2本柱で、予防と治療の両面から対応していくことが重要」と述べ、ワクチン接種を勧奨していくとともに、陽性患者を早期に発見し、抗体カクテル療法といった必要な医療につなげることで、重症化の防止を図っていくと答えた。

新型コロナウイルス感染症対策

若年層のワクチン接種 

正しい情報をもとに判断を 

 重症患者を増やさないためにも「ワクチンの接種率向上は喫緊の課題」と提起。若い世代への接種が進められている中、ワクチンに関し、SNS上では、個人の感想を起因とする誤った情報を見て不安・疑問を抱く若年層がいるとして、接種へのさらなる理解促進と若年層を始めとする幅広い層への正しい情報提供が重要だと提言した。
 これに対し、今後は、接種を迷っている人に正しい情報を提供し、判断していただくことが重要になるとして、ワクチンの正しい情報に関する若年層向けの動画配信やSNSを活用するなど、接種率の向上に努めていくとの考えを示した。

定期予防接種の周知

 新型コロナの拡大に伴い、札幌市として規定の期間内に定期予防接種を受けられなかった人に対し、公費による接種が可能な期間を延長(高齢者インフルエンザ、ロタウイルスを除く)しているものの、そのことを知らず、接種を諦める人がいると指摘。対象期間が過ぎると、自己負担となるため、「困窮世帯は接種がより難しくなる。『自己負担なし』で接種できる旨を周知すべき」と求めたのに対し、市長は「感染症流行下においても、貴重な接種機会が失われることがないよう、今後も接種対象者へ必要な情報提供を行っていく」と答えた。

感染減少時の経済対策

 感染拡大のリスクが低減された場合、市長は、消費喚起・誘客促進策を早急に再開し、補正予算案として、クラウドファンディングを活用したプレミアム付き食事券の発行や、観光関連団体等が行うイベントやプロモーションなど、需要回復の取り組みに対する支援事業を計上したと説明。国の行動制限の縮小・見直しの動きを注視しながら、速やかにこれらの消費喚起策を実施し、市内経済の活性化を図るとの考えを示した。
 政府は、ワクチン接種の証明や検査の陰性証明を組み合わせながら行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」の本格運用に向け、10月に実証実験を行う。北海道はこれに参加する考えを表明、飲食店やライブハウスでの活用案件を申請し、採択された。申請にあたって札幌市は、繁華街・すすきの地区での実施について、北海道と協議した。
 「札幌市としても、実証実験の結果を踏まえ、今後の施策を検討していく必要がある」と提言。ワクチン・検査パッケージ等を活用した行動制限の緩和に対しては、差別を生むとの懸念がある一方、「感染リスクの低い人から経済・日常活動を少しずつ再開させるべきという声もある。経済・雇用を守る観点からも議論していかなければならない」と述べた。

財政運営

基金の柔軟活用

新たな行政需要に対応

 財政運営では、新型コロナの影響が長期化し、「あらゆる業種に影響が出ている。きめ細やかな対応を行うべき」と提言。十分な財政措置が行えるよう、財政調整基金を活用しつつ、歳出改革と歳入確保に努める必要があるとし、見解を求めた。
 市長は、感染症拡大の防止や新たな日常への転換といった新たな行政需要に対し、「今後も躊躇なく財政出動し、機動的に対応する必要がある」と述べ、そのためにも基金残高を一定程度確保しつつ、柔軟に活用する考えを表明。また、社会・経済情勢に応じた事業の見直しを行うなど、「選択と集中」により、健全な財政運営に努めると答えた。
 2020年度決算を踏まえた財政の健全性に対する認識については、「感染症の影響下においても、的確な財政運営を行ったことにより、財政の健全性は引き続き、確保されている」と答えた。
 一般会計の20年度歳入決算額1兆2894億円(同28・6%増)に対し、歳出決算額は1兆2738億円(同28・4%増)。歳入・歳出の差額から、翌年度への繰越財源38億円を除いた実質収支は118億円の黒字となった。このうち60億円を財政調整基金に積み立てた結果、20年度末の基金残高は319億円と、アクションプラン2019の目標(100億円)を上回る残高を確保した。
市債残高については、感染症の影響で一般財源が減少し、それを穴埋めするための減収補てん債を38億円発行したものの、建設債の発行を抑制した結果、プラン2019の見込額を下回り、堅調に推移している。(2面に続く)

次の100年に向けたまちづくり

新たな発想や視点を

第2次まちづくり戦略ビジョン

 来年、市制施行100年を迎える札幌市。市は現在、次の100年の土台となる10年間のまちづくりの指針「第2次まちづくり戦略ビジョン」の策定を進めている。今後のまちづくりの方向性について、市長は、人口減少の到来や少子高齢化による人口構造の変化に対応した、ハード、ソフト両面での発想の転換が必要だと強調。まちづくり各分野に共通する概念として、①障壁や困難を解消し、誰もがつながり支え合う「ユニバーサル」②誰もが幸せを感じながら生活し、生涯現役で活躍する「ウェルネス」③先端技術等を活用し、生活利便性等を高める「スマート」――の3つを位置付ける考えを示した。
 この中で、より良い市民生活の実現に向け、バリアフリー化の促進や居心地が良く歩きたくなるウォーカブルなまちづくりとともに、健康寿命の延伸や、生涯に渡る社会参加・学び直しの機会の充実などを議論する。
 多発する自然災害や、現下の新型コロナウイルス感染症という不測の事態への対応等、「喫緊の課題に対応しつつ、将来世代のことを意識したまちづくりを進める責務がある」と強調。第2次ビジョンは、次の新たな100年に向け、将来世代のことを考えた新たな発想や視点を持ったまちづくりの基本指針とするよう求めた。

福祉課題を抱えた市民への支援

区に福祉連携組織

必要な支援を届ける体制を

 介護や貧困、保健福祉分野での複合的課題について、町田副市長は「既存の仕組みだけでは解決は難しい」との認識を示した上で、区役所に総合的な調整役を配置し、新組織のもとで、保健福祉分野での横断的な連携を図り、課題解決に向けた支援を行うとの考えを示した。
区役所を基幹的な相談拠点とすることは、「新たな職員教育や組織改編にもつながると大きな取り組みになる」と述べ、福祉課題を複合的に抱えた市民への支援をどのように進めていくのかと質問した。
 町田副市長は「区職員に、福祉制度や関係機関の機能・役割に関する広範な知識が求められることから、人材育成の研修を実施するなどの検討も進めている」と答えた。今後、取り組みの対応事例を積み重ねながら、区役所が困りごとを複合的に抱えている市民に寄り添い、必要な支援を行き届けられる体制の確立を目指す。
 民主市民連合はこれまで、福祉ニーズが多様化し、複合的課題を抱える世帯が増えるとの認識の下、地域包括支援センターの機能強化や相談体制の充実などを求めてきた。  

ヒグマ対策

近隣市町村と連携を

都市と自然の共生

 今年6月に東区の住宅地にヒグマが出没し、4人が重軽傷を負った。市はヒグマによる被害の防止と、ヒグマとの共生を両立するため、2017年に「さっぽろヒグマ基本計画」を策定し、ヒグマの市街地侵入抑制策を進めてきた。しかし、同計画はヒグマの出没を想定して森林が接する6区を対策の重点地域とし、今回出没した東区をはじめ、北、白石、厚別の4区は該当していない。
 今回の事例を受け、重点地域を市内全域に拡げていく必要があると指摘。また今後のヒグマ対策については、「さっぽろ連携中枢都市圏」による枠組みを活用するなど、近隣市町村と連携を図っていくことが重要と述べ、見解を求めた。
 吉岡副市長は、ヒグマが河川や水路を伝って市街地に移動したと考えられていることから、「近隣市町村との連携が重要」と説明。その上で、石狩振興局内の市町村や警察、猟友会が参加する「ヒグマ対策連絡会議」で、これまでの対応事例を検証し、出没情報の共有や、より迅速な出没対応体制の確立を図っていくなど、広域連携による実効性の高いヒグマ対策に取り組むと答えた。

災害時の市の対応

避難行動の確認を

市民への周知・啓発に力

 新型コロナの対応に市職員の力を傾注している現下の状況では、「災害時の初動対応力の低下が懸念される」と指摘。これに対し、発災時は、保健所の応援体制を一部解除して災害対応に当たるほか、新型コロナ対応業務については、非常時優先業務に絞って業務を継続する考えを示した。
 災害対策基本法の改正に伴い、警戒レベル4「避難勧告」が廃止され、「避難指示」に一本化。警戒レベル3「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」、警戒レベル5「災害発生情報」は「緊急安全確保」に改称され、市民に対する避難行動の周知・啓発が重要となる。
 市長は、自宅療養者に対しては、避難の必要が見込まれる場合、保健所に相談するよう伝えているほか、ハザードマップやさっぽろ防災ポータル、防災アプリ「そなえ」などを活用し、災害に応じた避難行動を事前に確認しておくことを、市民に周知していくと答えた。
 国や自治体、企業、住民等のあらゆる関係者が協働して「流域治水」に取り組むための流域治水関連法(9本の法律を束ねて改正)のうち、「水防法の一部を改正する法律」が7月15日に施行、洪水浸水想定区域の指定対象となる河川の範囲が拡大された。
 市長は、中小河川の管理者となる道と市で、同区域の指定に向けた検討作業を進めていると説明。それが完了次第、速やかに市民への周知が行えるよう、その結果をホームページで公表するほか、ハザードマップにも反映させると述べた。

子どもの権利擁護

一時保護の環境整備

多様な一時保護の場を確保

 2020年度の市児童相談所への通告件数が2年連続で2千件を超え、一時保護される子どもも増えている中、子どもの安全確保、適切な保護、心身の状況や生活・養育環境を把握する上で、一時保護の環境整備は喫緊の課題だと提起。市長は、多様な一時保護の場を確保し、「一人ひとりの子どもの課題に柔軟に対応できる環境整備に努める」と答えた。
 札幌市児相で一時保護される子どものうち、2割が在所日数の基準期間(2カ月以内)を超え、学習権保障の観点からも、長期化解消に向けた取り組みが急務となっている。こうした中、札幌市は9月、社会福祉法人に委託し一時保護専用施設を2カ所開設。25年度の供用開始を予定する第二児童相談所にも一時保護所の個室化を計画している。
 また、社会的養護を必要とする子どもを自立まで支える養育里親のなり手確保と子どもや里親に対する支援体制の構築が不可欠とし、里親の新規開拓と里親支援に関する今後の取り組みについて質問。これに対し、里親のリクルートから、研修、委託後の支援を一貫して行う、民間の「フォスタリング機関」が里親への研修等で蓄積したノウハウを活用し、効果的な募集を推進しながら、より適切なマッチングを図るなど、支援の強化を進めたいと答えた。

妊娠に不安を抱えた方への支援

妊婦専用窓口の開設

産科医療機関と連携図る

 妊娠に不安を抱えた人の支援策として「妊婦相談専用窓口」の開設を提案。町田副市長は、妊娠に関する事案に幅広く対応する専用相談窓口開設を検討する考えを示した。
 札幌市では、母子健康手帳を交付後、妊婦健診の公費負担制度や初妊婦訪問事業など、母子保健事業の支援対象となるが、妊娠確定前や出産を決断して母子健康手帳を手にする前段階では、支援の対象とならないため、悩み苦しんでいる女性に支援の手が十分行き届いていない状況がある。
 妊娠に関する不安や悩みを解決できず、一人で抱え込んでいる場合は出産に至ったとしても、その後の育児に大きな影響を及ぼすため、早期から適切な支援を行うことが必要と指摘。その上で、「助産師や保健師など、有資格者の専門的な知見を有する相談窓口での一元的対応が極めて重要」と述べ、見解を求めた。
 町田副市長は、妊婦健診を受けずに出産に至る未受診妊婦と児童虐待事案の発生予防に努めるとともに、母子保健事業による把握が難しい母子保健健康手帳交付前の人については、必要な支援につなげることができるよう、産科医療機関などとの連携を強化していくとした。

中小企業対策

資金繰り支援を検討

柔軟な対応を国に求める

 中小企業対策では、事業継続に必要な資金繰り支援についてただした。
 国や道は、中小企業対策として、実質・無利子担保融資の支援策を講じた結果、2020年度の全国倒産件数は30年ぶりに8千件を下回る低い水準となっている。札幌市は「新型コロナウイルス対応支援資金」や「新型コロナウイルス緊急資金」などを創設し、中小企業の事業継続、資金繰りを支援。一方、中小企業の業績がコロナ発生前の水準に回復するには時間が要することが想定されることから、現在借り入れている融資の据置期間終了に伴い、返済が開始され、資金繰りが圧迫されることが懸念されている。
 「資金繰りが悪化した場合、中小企業は成長に必要な投資ができなくなることや、倒産リスクが高まり、失業につながる可能性がある」とし、今後の資金繰り支援について質問した。
 石川副市長は、事業継続などに必要となる資金を円滑に供給していくことが重要との認識を示し、「国に対して中小企業の経営状況等に応じた借入金の返済に係る据置期間や償還期限の延長など、条件緩和に対応するよう働きかけ、金利や信用保証料の負担が少ない融資制度を含め、資金繰り支援策を検討していく」と答えた。

地域交流拠点

地域と連携したまちづくり

市民に積極的な情報提供を

 札幌市は、地下鉄駅周辺など、利便性の高い17カ所を「地域交流拠点」として位置付け、まちづくりを進めている。同拠点のうち、「新さっぽろ」、「真駒内」、「篠路」、「清田」は、先行し、取り組みを推進。中でも「新さっぽろ」は、大規模な商業機能、公共機能などが集積し、JRや地下鉄、バスターミナルで形成された交通結節点として高い利便性が保たれており、他の拠点に先んじて再開発が行われた。「新さっぽろ」のように具体的取り組みが進んでいる拠点がある一方、開発の検討が始まったばかりの拠点もある。
 地域交流拠点について「民間投資を進める上で、本市が調整役の役割を担い、民間事業者と地域住民の合意形成を促すことも必要」と指摘。その上で「アンケート調査やワークショップ等により、地域の意見集約を進め、まちづくりを検討する情報を積極的に地域住民に提供すべき」とし、見解を求めた。
 吉岡副市長は、各拠点の地域特性に応じて、住民などとのワークショップを開催し、積極的な情報提供に努めると答弁。引き続き、大規模建設の建て替え更新などの動きに合わせて、町内会や商店街などとの意見交換や情報提供を行いながら、地域と連携したまちづくりの検討を進めるとした。